はじめに
退職を、どう切り出すか。
検索すると、例文がたくさん出てきます。
- 「一身上の都合により」
- 「新しい分野に挑戦したく」
- 「引き止められにくい伝え方」
本音は隠して、角が立たない言葉に置き換える。だいたい、そういう内容です。
気持ちは分かります。言い方を間違えて、揉めたくないですよね。
でも、実際に伝えた経験から言うと
うまくいくかどうかは、言い方では決まりません。
私は15年いた会社を辞めるとき、退職の4か月前に、社長室で切り出しました。
そのときの話と、なぜ揉めなかったのかを書きます。
私が実際に伝えたときのこと
事実から書きます。
- 辞める4か月前
- 社長に、社長室で
- タイミングは、転職先の内定が出た後
そして、伝えた順番はこうでした。
まず、これまでの感謝を伝えました。
15年です。育ててもらった時間の方が、圧倒的に長い。
そして、ズバッと結論です。
回りくどい言い方はしませんでした。
「辞めます。」と、その後は、様々なことを話しました。
4か月前という時期について
一般的には、退職の1か月から3か月前に伝えるのが目安とされています。
私は、4か月前でした。
早いと思われるかもしれません。
ただ、ここで書いておきたいのは、時期そのものより、その前の話です。
辞めると決めてから、引き継ぎの準備を始めたわけではありません。
伝える前に、終わっていたこと
正直に言うと、退職が決まった後の段取りは、おおかた決めていました。
ただ、それ以上に大きかったのは、これです。
現職中から、後進者に役割をどんどん渡していました。
だから、辞めると決まってから慌ててやるような、かちかちした作業は、あまりありませんでした。
なぜ渡していたのか。
立場上、業務改善という定型業務よりも
ゼロからイチにする非定型業務に力を入れていたからです。
自分が定型業務を抱えたままだと、新しいことができません。
だから、渡せるものは渡していく。
結果として、それが退職の準備にもなっていました。
役職は、預かりものです。
- 人を育てる
- 次に渡す
- 崩さずに引き継ぐ
この3つは、辞める前から徹底していました。
役職を置いて次に進んだときの話は、こちらです。
だから、言い方の問題ではない
ここまで書いて、伝えたいことは一つです。
退職がうまくいくかどうかは、切り出し方の技術ではありません。
引き継げる状態を作ってあるか。
自分がいなくても回る形にしてあるか。
そこが済んでいれば、言葉は自然に出てきます。
逆に、何も準備がないまま「引き止められにくい例文」を使っても
話は必ず引き継ぎに、向かいます。そこで詰まるからです。
例文を探す前に、自分の仕事を見渡してみてください。
明日いなくなったら、誰が困るのか。その人に、今から渡せるものは何か。
引き止めは、ありました
正直に書きます。
引き止めは、ありました。
内容は、ここには書けません。会社にも相手にも、事情があります。
ただ、私がどう向き合ったかは書けます。
すべて本音で、私の思いを正直に答えました。
取り繕いませんでした。
引き止めというのは、たいてい「本当のところ、なぜ辞めるのか」を確かめる場です。
そこで取り繕った言葉を返すと、話が終わりません。相手が納得しないからです。
本音で答えると、たしかに空気が重くなる瞬間もあります。
でも、本音は最後まで一貫します。作った理由は、突かれると崩れます。
15年育ててもらった相手に、最後だけ嘘をつく。それは、私にはできませんでした。
「伝えるのが怖い」あなたへ
最後に、いちばん多い悩みについて。
退職を伝えるのが怖い。
その気持ちは分かります。ただ、こうしてみてください。
何が怖いかを、言語化してみてください。
- 上司の反応が、怖いのか
- 引き止められて、断れないのが怖いのか
- 辞めた後の関係が、気まずいのか
そして、考えを小さく分解していく。
分解していくと、案外、たいしたことないかもしれません。
「上司が怒るかもしれない」だとして、怒られたら何が起きるのか
数分、気まずいだけかもしれません。
「引き止められたら断れない」だとして、断ったら何が起きるのか
すでに内定が出ているなら、答えは決まっています。
怖さは、まとまった塊のままだと大きく見えます。
分解すると、対処できる大きさになります。
同じことを、転職の失敗でも書きました。
よくある質問
Q1. 誰に最初に伝えるべきですか?
一般的には直属の上司です。私は立場上、社長に伝えましたが、それは会社の規模と関係性によります。
同僚や他部署に先に話すのは避けてください。人づてに伝わるのが、いちばん揉めます。
Q2. 内定前に伝えてもいいですか?
勧めません。私は内定が出た後に伝えました。先に退職を伝えて転職活動が長引くと、経済的にも精神的にも追い込まれます。
退職日の調整も、内定があるからこそ話が進みます。
Q3. 退職理由は、本音を言うべきですか?
私は本音で答えました。ただし、本音と愚痴は違います。
会社の不満をぶつけるのと、自分がやりたいことを話すのは別です。前者は関係を壊すだけで、何も生みません。
Q4. 引き止められて、条件を良くすると言われたら?
その条件が、なぜ今まで出てこなかったのかを考えてください。
辞めると言った人にだけ出る条件は、辞めると言わなければ出なかった条件です。そして提示されたことが、必ず実現するとも限りません。
Q5. 引き継ぎが終わりそうにありません。
それは今日の問題ではなく、これまでの問題かもしれません。
自分にしかできない仕事を抱え込んでいると、辞めるときに必ず詰まります。逆に言えば、渡す習慣がある人は、いつでも動けます。
まとめ:退職を伝える前にやること
1. 自分の仕事を見渡して、渡せるものを渡す。
辞めると決めてからでは遅いです。普段から渡していれば、退職は手続きになります。
2. 内定を得てから、伝える。
順番を逆にすると、選択肢がなくなります。
3. 直属の上司に、時間をもらって、二人で話す。
人づてに伝わるのが、いちばん揉めます。
4. 感謝を伝えてから、結論を言う。
私はこの順番でした。回りくどい言い方はしませんでした。
5. 怖さを分解する。
何が怖いのか。それが起きたら実際どうなるのか。分解すると、案外たいしたことありません。
そして動くと決めたなら、順番は「内定が先」です。
私が実際に使ったエージェントの比較は、こちらに正直に書きました。
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さいごに
退職の伝え方を探している人は、たぶん、もう心が決まっています。
決まっていないなら、伝え方を調べません。
だとしたら、必要なのは例文ではありません。
渡せるものを渡して、感謝を伝えて、正直に話す。
それだけで、たいていは通ります。
引き止められると、心が揺れます。情に訴えられることもあります。
でも、忘れないでください。
人生の主役は、あなたです。
あなたが辞めた後、その会社は回ります。
そして、あなたの人生の責任を取ってくれる人は、そこにはいません。
15年いた会社を出た日、私は空を見上げました。
やり切ったと思えたのは、うまい言い方をしたからではなく、残すものを残したからでした。
ここが、あなたの人生で運を掴みにいく、最初のきっかけになれば幸いです。
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