はじめに
「人が足りなくて、現場が回らない」と感じている方へ。
クリティカルシンキングという言葉は知っているけれど、仕事でどう使うのか分からない方へ。
「クリティカルシンキング とは」で検索してみてください。
出てくるのは、こういう記事です。
- クリティカル・シンキングとは?身につける方法
- クリティカルシンキング(批判的思考法)とは?
- 意味・例題と、簡単にできる実践方法
検索上位は、ビジネススクールや人材育成の会社の解説です。
言葉の意味と、鍛え方の話が続きます。
私は、専門商社の5つの部署(物流も含みます)を経験し、最後は46人を見る立場でした。
そのうえで、正直に書きます。
私の現場で足りなかったのは、人ではなく、問いでした。
先に結論:確認するのは3つ
① 当たり前を「本当に必要?」と問い直すのが、クリティカルシンキングです。批判ではありません。
② 出荷時のシール貼りをなくし、同じ人数で回り、繁忙期の残業も大きく減りました。
③ 人を増やしても、問いを立てて改善しなければ、現場は回りません。
順番に書きます。
クリティカルシンキングとは
まず、言葉の意味です。
当たり前を疑う力
日本語では、「批判的思考」と訳される言葉です。
端的に言うと、当たり前を疑う力です。
よくある誤解として、決して批判することではありません。正しくは、仕事をより良くするために考える力です。
人を責めるのではなく、仕事のやり方そのものに「なぜ?」を向けます。
使うのは、3つの問い
難しく考える必要はありません。使うのは、この3つの問いだけです。
- なぜ、やるのか?
- 本当に、必要か?
- 他に、方法はないか?
この3つを、毎日の仕事に向けるだけで、見え方が変わります。
シール貼りをなくした話
次は、私の現場の話です。
誰も指摘しなかった作業
出荷のときに、商品ごとに1枚ずつ、シールを貼っていました。
シールには、賞味期限、配達先の名前、納品日が書いてあります。
この作業は、みんなが「仕事」としてとらえていました。誰も指摘することなく、当たり前として、なじんでいました。
通常時で、5人が3時間ほど、この作業に使っていたと思います。恐ろしいですよね。
当たり前になっている作業ほど、誰も止めません。止める理由を、誰も考えないからです。
「本当に必要?」と問い直した
私は、この作業に「本当に必要?」と問いを立てました。
賞味期限は、そもそも商品に書いてあります。配達日も納品先も、ピッキングと方法次第で分かります。
もちろん、シールをなくすことは、事前にお客さんに伝えました。
ただ、「こちらの手間なので、なくします」は、当たり前ですが、現実の世界では通じないお客さんもおられます。
その際には、提案をしました。
繁忙期や通常時の配達の遅れ、シール代、そしてシールをなくしたときのお客さんのメリットを、まとめて出しました。
そして、この作業をなくしました。
同じ人数で、残業が減った
結果は、はっきり出ました。
同じ人数のまま、現場が回るようになりました。そして、繁忙期の残業も、大きく減りました。
人を増やしたわけではありません。1つの作業に、問いを立てただけです。
現場を改善した経験が、外でどう見られるかは、社内にいると分かりません。
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付加価値が、首を絞める
サービスや付加価値は、状況と内容によっては、自分の首を絞めます。
事業の立ち上げのときに、他社にない付加価値をやることは、否定していません。
悪いのは、成長の状況に合わせて考えて、行動していないことです。
規模の経済の逆を考えると、分かりやすいです。
私が一人で、お客さん1,000人を相手にするなら、考えてサービスを提供しないと、人海戦術では時間と体力に限りがあります。
間違いなく、パンクします。笑
規模の経済の話は、こちらに書いています。
人手不足の正体は、問い不足
ここからは、なぜ人が足りなく感じるのかの話です。
問いがないと、仕事が増える
人手不足の正体は、問い不足です。
問いがないと、こうなります。
- 無駄な仕事が増える
- 人が足りなくなる
- さらに忙しくなる
ここまでくれば、完全な悪循環です。
よくある3つの状態
現場では、こんな状態がよく起きています。
- 「昔からやっているから」で続いている仕事
- 「あの人しかできない」仕事(属人化)
- 「忙しいから考えない」という空気
実はこれ、全部つながっています。忙しい、余裕がない、考える習慣がない。だから、問いがなくなります。
人を増やしても、回らない
人を増やせば解決する、と思われがちです。
ですが、問いを立てて改善しなければ、人を増やしても回らないと思います。
無駄な仕事が残ったままなら、増えた人も、その無駄な仕事に回るだけだからです。
会議と日報を変えて、不要な仕事を削った話は、こちらに書いています。
現場に、問いを渡す
続いて、メンバーに共有したときの話です。
「削減していいのですか?」
シール貼りをなくす話を共有したとき、現場の反応は「やってみよう」でした。
むしろ、「削減していいのですか?」という反応でした。
それくらい、当たり前の作業は「やるもの」になっていました。
考えさせることが、必要
この反応で分かったのは、現場に考えさせることが必要だということです。
問いは、上の人だけが持つものではありません。
毎日その作業をしている人にこそ、「本当に必要?」を持ってもらう。そこから、次の改善が出てきます。
明日からの3ステップ
ここからは、実践です。私もメンバーに共有しています。
① やる前に疑う
「本当に必要か?」を、作業を始める前に聞きます。意外と、昔からの文化が、個人にも会社にも残っています。
② 仕組みにする
人ではなく、構造で回します。例えば、AIが得意なことは、任せていきましょう。
③ 小さく改善する
完璧じゃなくていいです。5分、10分楽になった。そのレベルから始めていきましょう。
同じ考え方を、転職市場で評価される力として書いた話は、こちらです。
あなたの状況別の答え
人が足りなくて、現場が回らないと感じている方へ。
人を増やす前に、毎日やっている作業を1つ選んで、「本当に必要?」と聞いてください。
新入社員の方へ。
正解を探さなくていいです。なぜ?本当に?他にない?の3つを持つだけでOKです。
中堅・ベテラン社員の方へ。
一番危険なのは、慣れです。経験は武器ですが、同時に思い込みにもなります。
改善を提案しても、通らない方へ。
まず、小さく始めてください。5分楽になった事実があると、次の提案が通りやすくなります。
メンバーが、考えてくれないと感じている管理職の方へ。
問いを、現場に渡してください。「削減していいのですか?」が出たら、考え始めた合図です。
よくある質問
Q. クリティカルシンキングとは、何ですか。
当たり前を「本当に必要?」と問い直す思考法です。批判ではなく、仕事を良くするための問いです。
Q. 人手不足は、人を増やせば解決しますか。
私は、問いを立てて改善しなければ、人を増やしても回らないと思います。私の現場では、作業をなくして、同じ人数で回りました。
Q. お客さんへの付加価値のサービスは、やめた方がいいですか。
立ち上げのときに、他社にない付加価値をやることは否定しません。大事なのは、成長の状況に合わせて、続けるかを考えることです。
Q. 本当に、これで変わりますか。
すぐには変わりませんが、確実に差が出ます。私の現場では、繁忙期の残業が大きく減りました。
Q. 忙しくて、考える余裕がありません。
だからこそ必要です。考えないと、ずっと忙しいままです。
まとめ:今から出来ること
クリティカルシンキングの記事は、意味と鍛え方で語られています。
- クリティカルシンキングは、当たり前を問い直す思考法。批判ではない
- 使うのは、なぜ?本当に?他にない?の3つ
- 出荷のシール貼り(通常時5人で3時間)をなくして、同じ人数で回り、繁忙期の残業が減った
- 付加価値は、成長の状況によっては首を絞める
- 人手不足の正体は、問い不足
- 人を増やしても、問いと改善がなければ回らない
- 現場に考えさせると、「削減していいのですか?」が出てくる
今日できることは、ひとつです。
明日、毎日やっている作業を1つ選んで、「本当に必要?」と紙に書いてください。答えが出なくても大丈夫です。問いを持つことが、最初の一歩です。
改善の経験の値打ちは、経歴を外の人に読んでもらうと分かります。
JACリクルートメント私が内定をいただいた3社は、すべてここからでした。
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注意(必ず読んでください)
ここまで書いたことは、すべて私一人の事例です。
なくしていい作業かどうかは、取引先との約束や、法律で決まっている表示などによって変わります。なくす前に、必ず確かめてください。
そして、いちばん大事なことを書きます。
自分の現場で何を変えるかは、最終的にあなたが判断してください。
私の言葉で決めて、うまくいかなかったとき、あなたの人生の責任を私は取れません。
自分の人生の大きな決断の主語は、いつでも自分です。
さいごに
クリティカルシンキングの記事は、意味と鍛え方で語られがちです。
ですが、現場にいた私にとっては、誰も止めなかったシール貼りに、問いを立てることでした。
これからの時代に必要な力は、答えを出す力ではなく、問いを持つ力です。
ここが、あなたの人生で運を掴みにいく、最初のきっかけになれば幸いです。
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