はじめに
質問リストを100個集めても、たぶん解決しません。
「1on1 話すことがない」で検索すると、出てくるのはこういう記事です。
- 質問リスト〇選
- 話題のネタ帳
- テンプレート
- フレームワーク
そして書いているのは、1on1支援ツールを売っている会社と、管理職研修を売っている会社です。
「1on1はやらなくてもいい」と書ける立場の人が、1社もいません。
そのうえ、検索窓にはこう出ます。
「1on1 意味ない」
配られている答えが効いていない、かもしれません。
私は専門商社で、4つの部署・46人を見る立場までやりました。
通算では100名を超える部下を預かっています。
そのうえで、正直に書きます。
私は、1on1をやりませんでした。
先に結論:確認するのは、この3つです

1⃣ 手段は、あなたが選んでいいものです
会社の目標は同じでも、そこへの行き方は自分で決めるものです。
2⃣ 話すことがないのは、普段がないからです
月に30分で関係を作ろうとするから、話すことがなくなります。
3⃣ こちらから主体的に動かないと、相手からは来ません
待っていても、部下から来ることはありません。
順番に書いていきます。
私は1on1をやりませんでした
まず、前提を書いておきます。
1on1を否定するつもりは、まったくありません。
同じ会社に、やっている管理職もいました。それで機能していたのなら、それが正解です。
ただ、私はやりませんでした。
理由は単純です。
会社としての目標は同じでも、そこへ向かう手段は、それぞれが考えて行動するものだからです。
管理職に求められているのは、業績と育成です。
その2つが果たせるなら、道のりは何でもいいからです。
私が選んだのは、1on1という時間を作ることではなく、普段から溶け込むことでした。
1対1で話したのは、年2回だけです
制度として存在した1対1は、夏と冬の面談だけです。年2回です。
「それで足りるのか」と思われるかもしれません。足ります。普段があるからです。
そして、この年2回の中身が、大事だと思っています。
私は、半年間、メモを取り続けます。
私がやっていたのは、これだけです。
日頃の業務の中で、良かったことも、悪かったことも、メモしておく。
半年分たまったものを、私の解釈を入れて、面談の場で伝えます。
そして、そこで終わらせません。改善と提案につなげます。
業績と育成、その両方につながる形にして、相手に渡します。
面談は、評価を言い渡す場ではありません。半年分の観察を、その人の材料として渡す場です。
だから、面談の前に慌てて「何を話そう」と考えたことはありません。
メモが半年分あるので、話すことはいくらでもあります。
「話すことがない」という状態は、その半年、その人を見ていなかったということかもしれません。
代わりに、全体の場に仕組みを作りました
1on1をやらない代わりに、私が力を入れたのは全体の場です。
全体朝礼と会議。ここに仕組みを作りました。
- アジェンダを事前に配る。
- ファシリテーター役を分ける。
- 信頼している部下に、あえて反対意見を言う役をお願いする。
制度を作らなかったのではありません。作る場所を変えただけです。
会議の設計をどう変えたかは、こちらに書きました。
そして、普段からとにかく会話するようにしていました。
「話すことがない」の正体
気持ちは、よく分かります。
30分の枠を取って、向かい合って座って、さあ何を話すか。
あれは、アドリブのフリートークならしんどいです。笑
ただ、そこで質問リストを探しに行く前に、考えてほしいことがあります。
相手に、興味を持っていますか。
そして、もう一つ。
こちらから主体的に動かないと、相手からは来ません。そう思っておいた方がいいです。
部下は、上司に気を遣います。話しかけるタイミングを見ています。
待っている限り、向こうからは来ません。
だから、30分の枠の中で関係を作ろうとするのではなく、
枠の外で、会話の量を増やす。そうすると、枠の中で困ることがなくなります。
手段は、星の数ほどあります。
私がやっていたことを挙げるなら、こういうことです。
- 現場に出る。
- 一緒にご飯を食べる。
- 同行訪問する。
- プロジェクトを組む。
ただ、ここを真似してほしいわけではありません。
劇的に変わる瞬間は、ありません
正直に書きます。
46人を見てきて、1対1で話したことで劇的に何かが変わった瞬間は、ありません。
1on1の記事には、こういう話がよく出てきます。
「あの30分で、部下が変わった」とか「たった一言で、目の色が変わった」などです。
本音で言うと、私には、そういう記憶がありません。
あるのは、日々の積み重ねだけです。
そして、そう書けるのは、1on1ツールを売っていないからだと思います。
劇的な瞬間があることにしないと、道具は売れません。
私が金に魂を売れば、簡単に書くと思いますよ。笑
言ったから伝わった、ではありません
もう一つ、はっきり言えることがあります。
言ったから伝わった、ではありません。
言ったことを、やってくれて、初めて伝わったんです。
伝えた時点では、まだ何も起きていません。
相手の中で言葉が残り、行動に変わって、そこでようやく「伝わった」と言えます。
だから、1回の面談で伝わったかどうかは、その場では分かりません。
言い続けることについては、別の記事に詳しく書きました。
それでも伝わらないときは、どうするか
やることはあります。
言い方を変えます。
→ 同じ言葉が刺さらないなら、角度を変える。
やり方を変えます。
→ 伝える場所やタイミングを変える。
もう一度、言います。
→ 1回で伝わると思っていません。
第三者から伝えてもらいます。
私の言葉が届かなくても、その人が信頼している別の誰かの言葉なら届くことがあります。
協力者を頼るのは、負けではありません。
それでも受け取らないときは、何もしません。
ここが、いちばん正直に書いておきたいところです。
手を尽くしても、受け取らない人はいます。
そのとき、私は何もしません。
気づきは渡しました。
それを受け取らないのなら、受け取らないという決断を、その人がしたということです。
ロバを水飲み場まで連れて行くことはできます。でも、飲むかどうかは、ロバが決めます。
私にできるのは、水飲み場まで連れて行くことだけです。口をこじ開けることではありません。
だから、追いかけません。責めません。次に会ったときは、また普通に話します。
そして、あなたに聞きたいことがあります
半年分のメモを渡されたとして
それを受け取って、自分の中で考えて、行動に移せる人。
受け取らないと決める人。
今後の人生を考えたうえで、どちらがいい姿勢だと思いますか。
私は答えを書きません。ここは、読んだ人が自分で決めるところだと思っています。
ただ一つだけ言えるのは
この問いに自分で答えられる上司は、部下にも同じ問いを渡せるということです。
答えは、ネットにありません。
最後に、いちばん伝えたいことを書きます。
「1on1 話すことがない」で検索して、質問リストを持ち帰ったとします。
その30分は、借り物の時間になります。
- 現場に出るのか。
- 飯を食うのか。
- 同行するのか。
- プロジェクトを組むのか。
- 制度としての1on1を使うのか。
手段は星の数ほどあります。そして、それを考えて行動することが大事なんです。
答えは、ネットにありません。自分の中でやることに、意味があります。
あなたの状況別の答え
■1on1が制度で決まっていて、やらざるを得ない
枠は消せません。なら、枠の外を増やしてください。
普段の会話が増えれば、枠の中で困らなくなります。
半年分のメモを取り始めるのも、今日からできます。
■部下が心を開いてくれない
こちらから主体的に動いているか、確認してください。
待っている限り、向こうからは来ません。
■制度を作る側にいる
1on1を入れる前に、全体の場が機能しているかを見てください。
朝礼と会議が死んでいる組織で、1on1だけ入れても、話す材料がありません。
■自分が1on1を受ける側で、苦痛
上司も、たぶん困っています。
「今日はこれを聞きたいです」と、こちらから枠を埋めてしまうのが早いです。
よくあるQ
Q1. 1on1は、やらない方がいいということですか?
違います。やっている管理職もいましたし、それで機能していました。
手段は自由だ、というのが私の考えです。
Q2. 年2回で、本当に足りるのですか?
普段があるなら足ります。
逆に、普段がないまま月1回30分やっても、足りないと思います。
Q3. 半年分もメモを取るのは大変では?
一度に書くと大変です。気づいたときに一行だけ残します。
良かったことも、気になったことも。
それが半年たまると、面談で困ることはなくなります。
Q4. 上司から1on1で「何か話ある?」と聞かれます。
上司も困っています。先にこちらから議題を出してしまってください。
それができる部下は、正直かなり重宝されます。
まとめ:今から出来ること
- 部下一人につき、メモを一行だけ残す。
良かったことでも、気になったことでも構いません。
- 枠の外で、1回だけ話しかける。
現場でも、廊下でも、昼でも。こちらから動きます。
- 「話すことがない」と感じたら、その人を見ていたか振り返る。
質問リストを探す前に、そこです。
- 伝わらない相手を、追いかけない。
水飲み場までは連れて行く。飲むかどうかは、相手が決めます。
- 自分の手段を、自分で決める。
現場でも、飯でも、同行でも。答えはネットにありません。
注意(必ず読んでください)
ここに書いたのは、私が管理職として46人を見て
通算100名を超える部下を預かった中での考えです。
会社の規模、業種、チームの状況によって、正解は変わります。
制度として1on1が定められている会社では、まずその制度に従ってください。
そのうえで、枠の外をどう使うかの話として読んでいただければと思います。
また、部下との関係で眠れない、食欲がないなど
心身に不調が出ている場合は、この記事の内容は当てはまりません。
まず休むこと、そして医師や専門機関に相談することを優先してください。
最後に決めるのは、あなたです。
あなたの人生を、あなた以上に大切にできる人はいません。
さいごに
1on1という言葉が広まる前から、上司と部下が話す必要はありました。
名前がついて、制度になって、ツールが売られるようになっただけです。
そして、名前がついた途端に、「上司が部下にやるもの」という上下がつきました。
私は、そこがずっとしっくりきていません。報連相についても、同じことを書きました。
上下を前提にした30分より、上下のない普段の会話の方が、たぶん多くのことが伝わります。
そして、もう一つ。
部下の半年分はメモしているのに、自分の半年分は、誰も書いてくれません。笑
ただ、私が自分の値段を知ったのは、営業所の所長をやっていたときでした。
軽い気持ちで登録して、面談で言われた一言に、その場で固まりました。
部下を見ている立場の人ほど、自分のことは後回しになります。
ここが、あなたの人生で運を掴みにいく、最初のきっかけになれば幸いです。
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