はじめに
「拒否できません」と言われても、困りますよね。
「望まない異動 モチベーション」で検索すると、出てくるのはこういう記事です。
- 人事異動は、原則として拒否できません。
- 就業規則に定めがあれば、命令権が認められます。
- 拒否すれば解雇処分が、検討される可能性があります。
- 異動希望は、伝え方しだいでわがままと受け取られます。
書いているのは、転職エージェントと人事システムの会社です。
制度としては正しいです。
ただ、あなたが知りたいのは「拒否できるか」ではなく
「この気持ちのまま、どう働けばいいか」だと思います。
私は、異動を命じる側にも、命じられる側にもいました。
そして、命じた側として、ひとつだけ書いておきたい事実があります。
私は今まで、異動も転勤も、一度も断られたことがありません。
なぜかを書きます。
先に結論:この3つです

1⃣ 命じる側には、必ず理由があります
説明されていないなら、聞いていいです。
2⃣ 「モチベーションを保て」とは言いません
それを言う上司は、管理できていないだけです。
3⃣ 異動で、あなたの価値は変わります
ただし、本人が体得してこそです。
順番に書いていきます。
説明責任を果たす
私が異動や配置換えを命じるとき、必ずやっていたことがあります。
なぜ、あなたが選ばれたのか。
これを、きっちり説明します。
そして、もう一つ。私が任命したのかどうかも含めて伝えます。
上からの指示なのか、私が推したのか。そこを曖昧にしません。
これは、命じる側の説明責任だと思っています。
嫌がられることも、当然あります。それでも説明は省きません。
結果として、断られたことは一度もありません。
説明がないなら、聞いてください
もしあなたが、理由を聞かされないまま動かされたなら。
それは、上司が説明責任を果たしていないだけです。
聞いていいと思います。「なぜ自分だったんですか」と。それは反抗ではなく、確認です。
そして、その質問に答えられない上司なら、理由は本当にないのかもしれません。
それが分かるだけでも、聞く価値があります。
モチベーションの管理
正直に書きます。
私は、部下に「モチベーションを保て」と言ったことがありません。
言わない理由は、はっきりしています。
それを言うのは、自分が管理できていないと白状しているのと同じだからです。
人のやる気は、他人が命令して上がるものではありません。
上がる環境を作るのが管理職の仕事です。
「上げろ」と言うのは、仕事を相手に丸投げしているだけです。
だから、いまあなたが「モチベーションが上がらない」と悩んでいるとしても
それは、あなたの欠陥ではありません。
異動は、異動です
もう一つ、身も蓋もないことを書きます。
異動は、異動です。
会社の就業規則にどう書かれているかは大事です。
ただ、それとは別に、組織である以上、人は動きます。
そこに納得できるかどうかと、実際に動くかどうかは、別の話です。
全て経験になる
私自身の話を書きます。
物流、営業、仕入、人事、総務、戦略、情報システム。全部やりました。
そして、「行きたくなかった」と思った異動は、一度もありません。
理由は単純です。
すべてが、学びに変わるからです。
なぜそう言えるのか
物流を知らない営業と、物流を知っている営業では、話せることが違います。
仕入を知らない営業と、知っている営業でも違います。
バラバラに見えた経験が、あとから全部つながりました。
異動した瞬間は、たしかに面倒です。人間関係も一から作り直しです。
ただ、その面倒くささは、数年後に必ず武器になります。
異動で、あなたの価値は変わる
ここは、はっきり書いておきます。
新しいことを経験して、違う環境に身を置けば、価値は変わります。上がります。
ただし、条件があります。
本人が体得してこそ、です。
行った先でぼけーっとしていたら、何も変わりません。
3年経って、年齢だけが増えます。同じ異動でも、そこで分かれます。
だから、いま気持ちが乗らなくても構いません。
ただ、行った先で1つだけ、自分のものにしてください。
それだけで、この異動の意味が変わります。
家族のことを、忘れないでください
ここは、上司の立場からも、当事者としても書いておきます。
異動、特に勤務地が変わる転勤の話です。
本人は、基本的に理解しています。サラリーマンとはそういうものだと、腹をくくれます。
ただ、家族にとっては大迷惑です。笑
- 子どもの学校が変わります。
- 配偶者の仕事が変わります。
- 友人関係も、生活も、全部作り直しです。
本人が納得しているかどうかとは、まったく別の問題です。
命じる側は、ここを軽く見がちです。私も含めて、覚えておいた方がいいと思っています。
私自身も、家族がいる状態で受けました。
命じる側だけでなく、受けた側でもあります。
そのとき、家族は理解してくれました。
ただ、大迷惑であることは変わりません。
理解してもらえたことと、大迷惑をかけたことは、別の話です。
では、なぜ理解してもらえたのか。
それまでに、自分の仕事の内容と条件を伝えてあったからです。
どんな仕事をしていて、どういう会社で、こういうことが起こり得る。
それを異動が決まってから説明したのでは、遅いです。
必要なのは、日頃からの関係性と付き合い方です
特別なことではありません。
ビジネスの話もプライベートの話も、ひっくるめて会話することです。
そして、順番があると思っています。
相手のことを理解してから、自分のことを理解してもらえる。
こちらの事情を分かってほしいなら、先に相手の話を聞く。
家庭でも、職場でも、同じだと思っています。
家族への相談の仕方は、こちらに書きました。
あなたの状況別の答え
理由を説明されていない
聞いてください。説明責任は、命じた側にあります。
答えられないなら、それが答えです。
理由は聞いたが、納得できない
納得と、動くことは別です。まず行ってみてください。
私も部署を回って、無駄だったものが一つもありません。
モチベーションが上がらない自分を責めている
責めなくていいです。上がらないのが普通です。
そして、上げるのはあなたの仕事ではありません。
せっかく行くなら、損をしたくない
行った先で1つだけ自分のものにすると決めてください。
同じ異動でも、体得する人としない人で、3年後がまったく変わります。
転勤で、家族に負担がかかる
そこが本丸です。モチベーションの話より、先にそちらを話してください。
よくあるQ
Q1. 本当に一度も断られなかったんですか?
はい。理由を説明していたからだと思っています。
Q2. 望まない異動は、左遷ということですか?
そうとは限りません。私は、優秀な人が抜けたときこそ大きく配置を組み替えていました。
期待されている場合もあります。
Q3. モチベーションは、どうやって戻せばいいですか?
戻そうとしなくていいです。新しい場所で1つ覚えることだけ考えてください。
気がついたら戻っています。
Q4. 異動を断ると、その後どうなりますか?
会社によります。ただ、断る前に理由を聞いてみてください。
聞いてから判断しても遅くありません。
まとめ:今から出来ること
- 「なぜ自分だったのか」を、上司に聞く。
説明責任は、向こうにあります。
- モチベーションが上がらない自分を、責めない。
上げるのは、あなたの仕事ではありません。
- 行った先で、1つだけ自分のものにする。
ぼけーっとしていたら、価値は変わりません。
- 転勤なら、まず家族と話す。
本人が納得していても、家族は別です。
- 家族には、普段から仕事の内容と条件を伝えておく。
異動が決まってからでは、遅いです。
- 3年後に何が残るかで考える。
いま面倒なことほど、あとで武器になります。
注意(必ず読んでください)
ここに書いたのは、私が異動を命じる側と、命じられる側の両方を経験した中での考えです。
会社の規模、業種、就業規則によって、状況は変わります。
異動命令の有効性や、拒否できる条件といった法律の話は、この記事では扱っていません。
必要な場合は、就業規則を確認したうえで、労働問題を扱う専門家に相談してください。
また、異動をきっかけに眠れない、食欲がないなど
心身に不調が出ている場合は、この記事の内容は当てはまりません。
まず休むこと、そして医師や専門機関に相談することを優先してください。
最後に決めるのは、あなたです。あなたの人生を、あなた以上に大切にできる人はいません。
さいごに
望まない異動を言い渡された日は、たしかに気持ちが沈みます。
ただ、私も部署を回って思うのは
あのときバラバラだった経験が、いま全部つながっているということです。
- 物流を知っていたから、営業で話せたことがあります。
- 仕入を知っていたから、見えた数字があります。
- 人事をやったから、人の見方が変わりました。
望んで行った部署は、ひとつもありません。
人生は、そういうふうにできていると思っています。
そのときは意味が分からなくても、あとから線になります。
ただし、線になるのは、その場で何かを体得した人だけです。
もう一度だけ家族の話をさせてください。
転勤は、家族にとって大迷惑です。
それでも送り出してもらえるかどうかは、異動が決まった日には決まりません。
それまでの毎日で決まります。
仕事の話も、プライベートの話も、ひっくるめて会話しているか。
相手のことを、先に理解しようとしているか。
そこだけだと思っています。
異動を受け入れるにせよ、外を見るにせよ
自分がいまどう評価されているかは、社内にいる限り分かりません。
私がそれを知ったのは、営業所の所長をやっていたときでした。
軽い気持ちで登録して、面談で言われた一言に、その場で固まりました。
ここが、あなたの人生で運を掴みにいく、最初のきっかけになれば幸いです。
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