はじめに
あなたが打ったのは「気まずい」なのに。
「退職 有給消化 気まずい」で検索してみてください。
出てくるのは、こういう答えです。
- 有給休暇は労働者の権利です。
- 会社が拒否するのは違法です。
- 時季変更権は、退職時には行使できません。
- 後任への引き継ぎを提案しましょう。
全部、法律の話です。
書いているのは、法律事務所と、転職サイトと、人事向けメディアです。
どれも間違っていません。ただ、あなたが検索窓に打ったのは「気まずい」でした。
権利かどうかは、たぶんもう知っています。知ったうえで、まだ気まずい。
私は、有給の申請を承認する側にいました。
そして、自分自身も15年いた会社を辞めています。
承認する側が、そのとき何を思っていたか。
それを書きます。
先に結論:この3つです

1⃣ 承認する側は、何も思っていません
「ゆっくり休んで」以外に、特にありません。
2⃣ 完璧な引き継ぎは、存在しません
必要なのは、法人のルールと担当者と連絡先だけです。
3⃣ 気まずくなる人は、有給が原因ではありません
原因は、去り方です。
順番に書いていきます。
承認する側が思っていたのは、これだけです
有給の申請が上がってきたとき、私が思っていたことを正直に書きます。
ゆっくり休んで、また次のステージでも頑張ってね。
これだけです。
「困るな」とも「もう少し出てほしいな」とも、思っていません。
そもそも、そこまで考えていません。
拍子抜けするかもしれませんが、承認する側というのはそういうものです。
あなたが3週間考え続けていることを、こちらは3秒で判断しています。
「印鑑を押しながら舌打ちされている」という想像は、たぶん当たっていません。
もしそんなことが目の前で、起きているのであればすぐ転職ですね。
学校を卒業するとき、気まずかったですか
もう少し踏み込んで書きます。
そもそも、気まずいことなのでしょうか。
学校を卒業するとき、気まずさがありましたか。
卒業式の前に少し授業を休んだからといって、後ろめたく思ったでしょうか。
たぶん、思っていないはずです。
終わりが決まっていて、その通りに終わるだけだからです。
退職も、同じです。
雇用契約が終わる日が決まっていて、その前に権利として持っている休みを使う。
それだけの話です。
上位の記事は全部「気まずさをどう乗り越えるか」を書いています。
私は、乗り越える必要があるものだと思っていません。
ただし、本当に気まずさがあるのであれば、その会社を卒業してよかったと思います。
完璧な引き継ぎなんて、存在しません
いちばん多い心配が、これだと思います。
「引き継ぎが終わっていないのに、有給に入るのは申し訳ない」
正直に書きます。
私が見てきた中にも、引き継ぎが終わらないまま有給に入った人はいます。
そして、こう思っていました。
完璧な引き継ぎって、何ですか。
引継ぎに必要なのは、3つだけです。
私が引き継ぎで見ていたのは、これだけです。
- 法人・顧客のルール
- 担当者
- 連絡先
この3つさえ教えてもらえれば、あとは何とかなります。
逆に言えば、これ以外は、次の担当者が自分で取りに行くべきものです。
分厚い資料は、動かない人の前では無価値です。
なぜ、そう考えるようになったか。
どれだけ精密な引き継ぎ資料を作っても、次の担当者が行動しなければ、価値はゼロだからです。
100ページの資料を残しても、その人が客先に行かなければ何も起きません。
逆に、A4一枚のメモしかなくても、動く人はその日のうちに電話を入れて、関係を作ってきます。
引き継ぎの価値は、渡した側ではなく、受け取った側が決めます。
だから、あなたが今できることは「完璧にすること」ではありません。
「3つを渡すこと」です。それが終わっているなら、堂々と休んでください。
なお、辞める前に何を終わらせておくかは、別の記事にまとめました。
本当に気まずくなる人は、有給が原因ではありません
ここが、この記事でいちばん書きたいところです。
24人を送り出してきて、気まずくならなかった人と、なった人がいます。
その差は、有給を何日使ったかではありませんでした。
「引き継ぎも情報も開示しません」と言った人がいました。
実際にありました。
辞めます。と言いに来て、そのうえで引き継ぎも情報も開示しませんと言った人です。
有給の日数の話ではありません。去り方の話です。
そして、こういう人は有給を1日も使わなくても、やはり気まずくなります。
有給は原因ではなく、去り方が表に出る場面のひとつでしかありません。
自責か他責か、なぜそういう去り方になるのか。
退職の理由を、自責で考えたか、他責で考えたか。そこだと思っています。
会社が悪い、上司が悪い、評価が不当だ。
そう考えて辞める人は、最後まで会社を敵として扱います。だから情報を渡しません。
世間は、思っているより狭いです。
同じ業界にいれば、必ずどこかで会います。
取引先として、仕入先として、あるいは同僚として。
それなのに、わざわざ難癖をつける形で去る必要があるでしょうか。
ここは、その人の生き方が出るところだと思っています。
人間力、と言ってもいいかもしれません。
送り出した部下と、その後どうなったかは、こちらに書きました。
有給消化中に連絡が来たら、どうするか
これも、よく検索されています。「有給消化中 呼び出し」や「有給消化中にすること」
私は、有給消化に入った部下に、仕事の連絡を一度もしたことがありません。
理由は単純です。その期間は、その人のものだからです。
そして、もし逆の立場で、有給消化中に会社の呼び出しに応じている部下を見つけたら
私は叱ります。「なぜ、そのチャンスを生かさないんだ」と
15年、20年と働いて、次の職場に移るまでの間に、まとまった時間が取れる。
そんな機会は、人生でそう何度もありません。
そこで会社の電話を取っている場合ではありません。
- 家族と過ごす。
- 次の準備をする。
- 何もせずに寝る。
- 何でも構いません。
はっきり言って、会社のことだけは、しなくていいです。
ちなみに、遊びの誘いはしました。
念のために書いておきます。
仕事の連絡はしませんでしたが、遊びの件で連絡したことはあります。笑
飯に行こう、とかそういう話です。
仕事の関係が終わることと、人の関係が終わることは、別です。
実際、送り出した相手とは、今も一緒に飲みに行きますし、キャンプも行きますし
ビジネスを前に進めるために、組むこともあります。
あなたの状況別の答え
引き継ぎが終わる気がしない
法人のルール、担当者、連絡先。
この3つが揃っているか確認してください。
揃っているなら、あとは次の人の仕事です。
上司に嫌な顔をされた
その上司は、あなたの人生の責任を取ってくれません。
嫌な顔は、その人の課題です。あなたの課題ではありません。
人手不足だから、と言われた
人手不足は、あなたが作った状況ではありません。
環境をつくるのは、管理職の仕事です。
同僚に申し訳ない
その気持ちは大事にしてください。
ただ、申し訳なさは、有給を返上することではなく、3つを渡すことで返せます。
有給消化中に会社から連絡が来た
出なくていいです。
その時間は、あなたのものです。
よくあるQ
Q1. 承認する側は、本当に何も思っていないんですか?
私はそうでした。ただ、上司にもいろんな人がいます。
思っている人がいたとしても、それはその人の問題です。
Q2. 引き継ぎ資料は作らなくていいんですか?
作るなとは言っていません。
「完璧でないと休めない」と思わなくていい、という話です。
Q3. 有給を全部使うと、印象が悪くなりませんか?
日数で印象が変わったことは、私にはありません。
変わるのは、去り方です。
Q4. 辞める会社と、良い関係を続ける意味はありますか?
あると思います。世間は狭いです。
私は送り出した相手と、今も一緒に仕事をしています。
補足ですが、お互い会社を変えているのにです。笑
まとめ:今から出来ること
- 引き継ぎに、法人のルール・担当者・連絡先が入っているか確認する。
入っていれば、それで足ります。
- 資料を「完璧にする」のをやめる。
受け取る人が動かなければ、どのみち無価値です。
- 有給の申請を出す。
権利かどうかは、もう調べたはずです。
- 去り方だけ、丁寧にする。
気まずさの原因は、日数ではなくここです。
- 消化に入ったら、会社のことは考えない。
そのチャンスは、人生でそう何度もありません。
注意(必ず読んでください)
ここに書いたのは、私が有給を承認する側と、消化する側の両方を経験した中での考えです。
会社の規模、業種、上司によって、状況は変わります。
有給休暇に関する法律や、具体的なトラブルについては、この記事では扱っていません。
会社と揉めている場合は、労働基準監督署や、労働問題を扱う専門家に相談してください。
また、退職を巡って眠れない、食欲がないなど、心身に不調が出ている場合は
この記事の内容は当てはまりません。まず休むこと。
そして、医師や専門機関に相談することを優先してください。
最後に決めるのは、あなたです。あなたの人生を、あなた以上に大切にできる人はいません。
さいごに
有給消化が気まずいと感じるのは、間違いなく、あなたが真面目な人だからです。
迷惑をかけたくない。中途半端に投げ出したくない。そう思える人が、そう検索します。
その感覚は、次の職場で必ず役に立ちます。だから、なくさないでください。
ただ、今回だけは休んでください。
承認した側は、本当に「ゆっくり休んで」としか思っていません。
そして、休んでいる間に、一度だけ考えてみてほしいことがあります。
なぜ、あなたは辞めることにしたのか。
会社が悪かったからなのか。それとも、自分がやりたいことができたからなのか。
同じ「辞める」でも、この2つは行った先でまったく違う結果になります。
私は、環境を変えて年収が上がりました。
ただ、それは運が良かったからではありません。
自分が何で評価されているのかを、外に出て確かめたからです。
ここが、あなたの人生で運を掴みにいく、最初のきっかけになれば幸いです。
この記事を読んだあなたへ
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